そこで、
②治療をするためにお仕事を休んだ
③仕事を休んだので収入が減少した
この3つの条件を満たすと収入の減少を補償する休業損害が認められます。
だから
・仕事は休んだが、整形外科や整骨院で治療を受けなかった
・仕事は休んだが収入の減少はなかった
という場合、休業損害は認められません
②「症状固定」・・・「ある程度まで怪我が回復した状態だがそれ以上改善が認められないこと」
までの間、被害者が仕事を休み、収入減少した場合です。
なお、症状固定は、病院や整骨院で先生から指導される場合や、保険会社との話し合いで決まります。
治癒または症状固定となると以後、怪我の治療として仕事を休んでも休業損害は認められません。
仕事を持っているとは
②個人事業主
をしている人を言います。
だから、仕事をしていない
・幼児、生徒、学生
には、休業損害が認められません。
だけど例外として主婦(主夫)には、休業損害が認められています。
交通事故の受傷の治療を受けても収入の減少がない人には、休業損害が認められません。
例えば
・地主、家主など不動産収入で生活している人
・会社・団体の役員
・年金生活者
で求めます。
1日当たりの収入(所得)額は、5,700円です。
1日当たりの収入(所得)額は5,700円未満の場合は、5700円に引き上げられます。
なお、1日当たりの収入(所得)額が5,700円を上回る場合、収入(所得)の裏付けが必要となります。
そして1日当たり5,700円を上回る収入の裏付けがある場合、最高で1日あたり19,000円まで認められます。
反対に収入(所得)の裏付けがないと5700円以上の収入(所得)を認められません。
休業日数の数え方は、サラリーマンや自営業の人などで変わります。
・休業損害=事故前過去3か月の給与総支給額÷90日×休業日数
②源泉徴収票
が必要となります。
この休業損害証明書を勤め先が発行しないと休業損害は認められません。
勤務先が休業損害証明書を発行しない場合、被害者自身で休業損害証明書を記入してはいけません。
また源泉徴収票の添付がないと定額5700円までしか認められません。
で休業損害日額を求めます。
給与の総支給額は、所得税控除前の金額です。
①の計算で1日当たりの収入(所得)額が5700円未満になった場合、5,700円に引き上げます。
休業損害日額の上限は、19000円です。
①の計算で19,000円を超えた場合は、19,000円とします。
次に①の1日当たりの収入(所得)額に休業損害証明書に記載の休業日数を掛けます。
これで、休業損害額がわかります。
休みの期間給与は支給されませんでした。
休業損害証明書によると事故前過去3か月間の給与額は、
3か月前が25万円、
2か月前は20万円、
1か月前は23万円でした。
休業日数は、Aさんが欠勤した3週間のうち土日休みが6日あったため、15日でした。
Aさんの1日当たりの収入(所得)額は、
休業損害額は、Aさんが15日休んだので
となります。
・事業所得者の休業損害に必要な書類は確定申告書の控えの写し・休業損害は
①青色申告の場合
②白色申告の場合
・現実に収入が減少したことの証明する書類
が必要となる場合があります。
で求めます。
※確定申告額の所得額とは
で求めます。
※特別控除額は、65万円と10万円の2種類あります。
で求めます。
※確定申告額の所得額とは、総収入-必要経費で計算します。
だから、自宅で安静にしていて、整形外科や整骨院へ通院しなかった日は休業日数としません。
Bさんは治療を受けた日の仕事を休んでいました。
Bさんの昨年の総収入は、400万円、経費は80万円でした。
確定申告は、白色申告をしました。
Bさんの1日当たりの収入(所得)額は
休業損害額は、Bさんが10日休んだので
となります。
・休業損害は5,700円×休業日数
【家事従事者】
主婦または主夫は、家庭内で食事を作ったり、掃除をしたり、洗濯をしたりと家事を専門にしている人のことです。家事従事者といいます。
ただし、一人暮らしの場合は家事を専業にしていても、家事従事者とは言いません。
で計算します。
ただし主婦(主夫)がパート・アルバイトもやっている場合、1日当たりの収入(所得)額は、パート・アルバイトからの1日当たりの収入(所得)額と定額の5700円を比較して、高いほうを1日当たりの収入(所得)額とします。
自宅で安静にしていた日は休業日として数えません。
C子さんの休業損害は
となります。
パート・アルバイトからの1日当たりの収入(所得)額と5700円を比較すると5,700円のほうが高いのでD美さんの1日当たりの収入(所得)額は5,700円となりC子さんの休業損害は5,700円×5日=28,500円になります。
として休業損害が認められます。
※家政婦代の領収書が必要です
なお、家政婦代が休業損害となった場合、主婦(主夫)である被害者の休業損害を別途に認められなくなります。
・休業損害の計算は、事故前過去3か月の給与総支給額÷90日×休業日数
・勤務時間、勤務日数によって、休業損害日額が5700円
同じ勤務先で1年以上パート・アルバイトをしていた人には休業損害が認められます。
しかし、その職場で1 週間の働く時間が 30 時間未満の人が、パート・アルバイトになります。
源泉徴収票、確定申告書が必要となる場合があります。
で休業損害を求めます。
しかし、勤務期間が年間で通じての継続的な勤務であり、勤務先の発行の休業損害証明書などの証明資料の提出があれば休業損害は認められることがあります。
1日の就労時間は6時間、1か月23~24日出勤があります。
むち打ちでアルバイトを8日間休み、出勤後2日治療のため早退と遅刻をしました。
事故前過去3か月のアルバイト代の総支給額は
3か月前が8万円
2か月前は8万円
1か月前は8万円
でした。
となります。
ただ、1日の就労時間は6時間、1か月23~24日出勤のため、Eさんの休業損害日額は5,700円に引き上げられます。
そして、2日の早退・遅刻を2日の休みとして数えますので、
Eさんの休業損害額は
となります。
・就職内定者でも証明書類があれば休業損害が認められる
・小規模法人の役員でも証明書類があれば休業損害が認められる
むち打ちの治療のため、土日を除き20日休みました。
甲会社から月12万円×事故前過去3か月=36万円
乙会社から月8万円主×事故前過去3か月=24万円
丙会社から月6万円×事故前過去3か月=18万円
事故前過去3か月78万円の所得がありました。
Gさんの休業損害は
となります。
【注意】
複数の会社で働いていて、それぞれから受け取った賃金が休損日額定額5,700円を下回っていても、5,700×3社=17,100円という計算はしません。
しかし、治療期間中に就職が決まっていた場合、休業損害が認められます。
その証明として
・求人広告
・初任給を明示する資料
などが必要となります。
しかし、個人事業主と変わらない規模の小さな会社などもあり、そうした会社の役員が仕事を休むと営業できなくなることはよくあります。
そこで、規模の小さな会社の役員には、休業損害が認められる場合があります。
原則休業損害日額として、5700円が認められます。
5700円を上回る場合、確定申告書などの収入を証明する書類が必要です。
また、事故によって、業績が悪化しことを会計帳簿などによる証明が必要です。
休業日数は、実治療日で計算します。
だから自宅で安静にしていた日は休業日数として数えません。
書類を用意していると保険の場合請求が認められやすいので、請求に必要な書類を管理しておくことは、大切ですね。